「当社の研究・技術部門では、静荷重および動荷重下でのシート構造の評価や、シートコンポーネントの熱成形やスタンピングの製造性の評価に、Altairのソフトウェアを毎日使用しています。将来的には、フォームの厚さ、特性、重量の最適化にも使用し、快適性を維持しながら、シート構造をさらに最適化する予定です」
– Jeremy Cailleteau, R&D Engineer, Safran Seats
人間工学で快適さを求める
Safran社の大きな関心事は、乗客の快適さの最適化です。着席した乗客の内腿軟部組織の圧迫など、不快感の原因を人間工学に基づいてシミュレートできるツールを必要としていました。航空機用シートの市場は新しく、競争が激しいため、高品質のシートをできるだけ早く市場に投入する必要があります。
生体力学モデルによる評価
調査中の軟部組織の圧迫は、外部からの接触圧力と、直接組織にかかるひずみの2つのパラメータを適用して推定できます。2種類のモデルを作成し、それぞれの不快要因を推定後、Altairのシミュレーションソフトウェアに結果と不快因子との関係を組み込むことで、人間工学的に品質を定量化しました。これらの結果と洞察から、シートの設計と素材を最適化し、乗客の潜在的な不快感を軽減できました。
こうして、
- 接触圧を推定するための一般的なモデル
- 統計的な形状解析により、骨盤~大腿部の骨と軟部組織の構造を含む人間のパラメトリックモデル
の作成を実現できたことで、貴重なインサイトを得られるようになりました。このモデルのデータベースは、36人分のスキャンデータを用いて作成されており、どのような体格の人でも、シートから受ける接触圧を人間工学に基づきシミュレーションできます。
筋肉、脂肪組織を含む詳細モデル
MRI画像から、中央値(50パーセンタイル)の男性の詳細モデルを作成しました。このモデルは、すべての筋肉組織と脂肪組織を含む、解剖学的に正確な構造です。このモデルを用いて、組織にかかる負荷を推定できます。
接触圧の検証
Altair Radioss™で、12人の被験者の座圧と測定した座圧を比較し、このパラメトリックモデルを検証したところ、推定された最大圧力の平均誤差を16%に抑えて接触圧を予測できました。
MRIによる歪みの検証
異なる荷重ケースと複数の位置でシミュレーションした軟部組織のひずみと、MRIで測定した軟部組織のひずみを比較して、詳細モデルを検証したところ、誤差は19%以下で、着座時のひずみをシミュレーションするのに適したアプローチであることが検証されました。
より深い洞察により、より迅速な開発を実現
面圧や構造的ひずみ、静的・動的応力下でのシート構造の全体的な挙動や、熱成形およびスタンピングの製造可能性の評価など、Altairのシミュレーションソフトウェアを使用して、さまざまな深い洞察を得られ、さらに、Altairのソフトウェアを使って開発した生体力学モデルは、推定最大圧力の平均誤差16%以下、推定内部ひずみの誤差19%以下に抑えることができました。
数値シミュレーションは、深い洞察をもたらすだけでなく、エンジニアが迅速かつ効率的に開発上の問題を解決するのにも役立ちます。
今回の結果に高い満足を得たSafran社では、今後もAltairのツールを利用してフォームの厚みや特性、重量を最適化し、航空機用シートの快適性をさらに向上させていく予定です。