パートナー製品AlphaCellを使った鉄道車両用ベローズの音響解析
Ultimate Europe社について
鉄道車両のトランジション、自動ドアシステム、内装品などのソリューションを開発、販売、提供するUltimate Europe社(本社:オーストリア・アムシュテッテン)は、最新の国際鉄道車両規格を取得し、地上、高速鉄道、地下鉄の安全な鉄道輸送に注力しており、Ultimateは鉄道市場におけるブランドネームとなっています。2003年の設立以来、製品と拠点を拡大し続け、本社に250名の従業員を擁しています(ポーランド、トルコ、ルーマニアを含む)。常に改善を求め最高の品質基準を達成するため、Ultimate Europe社は、設計・開発プロセスにシミュレーションを活用し、製品やサービスの安全性と品質確保に努めています。
課題
鉄道用の製品や部品の開発では、騒音の低減が重要な課題となります。最近のプロジェクトで鉄道車両用ベローズの音響解析を行ったUltimate Europe社は、ベローズの設計を推進するためのCAE手法を開発すると同時に、反復試験への依存度を低減するという長期的な目標を掲げ、はじめに、どのCAE手法が試験結果と最も相関性が高いかを評価しました。
ベローズ部品の音響挙動をシミュレートするため、Ultimateチームは、騒音低減プロジェクトに不可欠な要素である、標準試験法EN ISO 140に準拠したR/dB(透過損失)をシミュレートできるワークフローを作成する必要がありました。
Ultimate社では、Altair OptiStruct™を用いた構造解析・最適化に関しては豊富な経験がありますが、相反する2つのモデリング要件を組み合わせなければならない音響の扱いは、エンジニアにとって新たな挑戦です。4000hzを超える高周波数域では非常に細かいメッシュが必要ですが、大きな部屋の空気量に対してそのような細かいメッシュを設定すると、非常に大きなモデルになってしまい、FEM法では対応できません。このような音響問題をモデル化し、将来的には最適化できるような新たなソリューションが必要です。
ソリューション
Altairでは、自社の幅広いシミュレーション製品に加えて、Altairパートナーアライアンス(APA)を通じて補完的な他社製ソフトウェアを幅広く提供しています。アルテア独自の柔軟なライセンスモデルにより、顧客は追加費用なしでこれらのソフトウェアにアクセスできます。Ultimate社はAPAを利用して、Matelys社のAlphaCellソフトウェアに実装されている伝達マトリックス法を使用し、ベローズの音響反応を予測することができました。ベロー材の柔らかい性質は、伝達マトリックス法による速度効率に有利でした。AlphaCellは特殊な多層材料に適しており、豊富な内蔵材料ライブラリから利用可能な基本材料を変更し迅速に設定できます。
等価プレート法を使用することで、深い折り返し部分が材料サンプルの特性に与える影響を検討でき、その結果から新しい材料スタックを作成し、音響性能のシミュレーションを行いました。この方法によって、初期の材料パラメータに比較的小さな変更を加えるだけで、良好な相関関係が得られました。
結果
この等価プレート法により、最終的には材料の性能だけでなくベロー形状の影響も捉えることができました。この方法は、加重減音指数(Rw)が試験とシミュレーションの間で一致するという、高いレベルの相関関係を達成するための効果的な方法であることが証明されました。AlphaCellの主な利点は、計算時間が短いことで、ラップトップPCでも全周波数範囲で1回の計算に約30秒しかかかりませんでした。これにより、Ultimateチームは、顧客と結果を議論しながら、数分でリアルタイムの計算を行うことができました。